
コラム:ディズニーに学ぶマーケティング戦略-驚きを提供しつ続ける仕組み-
ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートは、マンハッタンの約2倍の敷地に65,000人以上の従業員を抱え、年間何百万ものゲストを迎えている施設。
その運営の成功は単なるエンターテインメントの提供にとどまらず、徹底したマーケティング戦略と顧客体験の最適化が背景にありそうです。
本記事では、ディズニーの成功事例を基に、経営者が自社の成長に活かせるヒントを解説します。
目次
- 従業員による顧客満足の徹底
- ゲスト体験を深める仕掛け
- データ活用による戦略的な意思決定
- 革新と伝統のバランス
- 「関係という財産」を築く
- まとめ
1.従業員による顧客満足の徹底
ディズニーの魅力は、目に見えるアトラクションやショーだけでなく、従業員の一貫したホスピタリティにもありますよね。
私自身、ディズニーで不機嫌な顔や非協力的な態度の従業員に出会った記憶はありません。これは徹底した教育と環境作りの結果です。
>現場重視の姿勢
ディズニーでは、全従業員が「ゲスト」(顧客)に最高の体験を提供することを使命としているそうです。
これはすべてのビジネスに適用できる考え方です。スタッフ教育や顧客対応の一貫性を保つことで、顧客満足度を高めることができますよね。
>現場からの収益最適化
マーチャンダイジングや一人当たりの消費額を最大化する戦略を実施。
例えば、アトラクションを出た直後に関連グッズを販売する店舗を配置するなど、顧客動線を徹底的に分析しています。
2.ゲスト体験を深める仕掛け
ディズニーは、訪問者が滞在中に「驚き」と「感動」を得られるよう、細部にまでこだわっています。以下はその一例です。
>パッチ交換の仕組み
従業員がディズニーのピン・バッチをつけ、ゲストと交換する仕組みを導入。
この仕掛けは、顧客参加型のゲームとして子供たちに人気で、滞在中の思い出作りに寄与します。
>商品購入を促す動線設計
アトラクションの出口に関連商品を並べたショップを配置。顧客は自然な流れで商品を目にするため、購買意欲が刺激されます。
>特製サイン帳の販売
キャラクターからサインをもらうための専用帳面を販売。他の子供たちも欲しくなる心理を巧みに利用しているといえそうです。
これらの戦略は、「顧客がつい購入したくなる仕掛け」を作り出す方法として、多くのビジネスで参考になりますね。
3.データ活用による戦略的な意思決定
ディズニーは、顧客行動を詳細にデータ化し、それを元に意思決定を行っています。
例えば、ディズニー敷地内に滞在するゲストの平均日数を4.6日から6.8日に延ばす目標を設定。
アンケートや顧客調査をもとに、新しいサービスを導入することで実現を目指してているそうです。
>ゲストの動線をデザイン
「道案内問題」を解決するために通路や案内表示を設計し直し、迷わず移動できる環境を提供。顧客満足度向上につながります。
>多世代家族への対応
以前は「親と子」の二世代が主要ターゲットでしたが、現在は祖父母を含む多世代家族を対象にしたサービスを展開。
このような顧客層の変化に対応する柔軟性がきわめて秀逸ではないでしょうか。
4.革新と伝統のバランス
ディズニーのイマジニアたちは、壮大なプロジェクトだけでなく、細部の改善にも力を入れています。
たとえば、新しいアトラクションのアイデアを出す「ブルースカイミーティング」では、古いアトラクションの刷新方法も検討されています。
>伝統を重視する姿勢
ディズニーは創業者の理念を尊重しながら、新しい取り組みを進めています。
9.11直後のCEOマイケル・アイズナーによる「進行中プロジェクトの継続」は、従業員や顧客からの信頼を確立しました。
>革新による進化
「秘密フロア」など、新しいアイデアを柔軟に取り入れる姿勢が、常に顧客の期待を上回る体験を提供しているといえます。
5.「関係という財産」を築く
ディズニーの最大の成功要因は、顧客との強い「関係」を築いていることです。
これは単なるエンターテイメントの提供にはとどまらず、顧客がディズニーやそのブランドに対して深い感情的な繋がりを持つことを目指しています。
>「関係」を意識したマーケティング
顧客にとって特別な体験を提供することで、リピーターを増やし、安定した収益基盤を構築しています。
>学ぶべき姿勢
自社のビジネスでも、顧客との接点を増やし、感情的な繋がりを重視するマーケティング戦略を取り入れる必要を感じさせます。
6.まとめ
ディズニーの成功の一番の鍵は、顧客体験を最大化するための徹底した仕掛け作りと、顧客との関係を大切にする姿勢にあるといえそうです。
驚きを提供し続けるその仕組みから学び、自社のビジネスに活かすこと、収益の最適化と顧客満足度の向上を実現できるのではないでしょうか。
「関係」という財産を築くことが、長期的な成功の基盤となる、最良の手本ですね。