マイクロ事業診断士 解答例 新事業開発9

事例企業の概要

山添さん(62歳)は、東京都内でダイエットコーチとして個人事業を営んでいる。
   
過去30年間にわたり、フィットネスや栄養学の分野で幅広い経験を積んできた彼女は、定年退職を機に独立。
現在は、主に30—50代の女性を対象に個別カウンセリングやオンライン指導を行い、健康的な体重管理の方法を提案している。
   
彼女のビジネスモデルは、オンラインでの月額サブスクリプション型の指導と、対面での集中カウンセリングの二本立てである。
  
しかし、最近は新規顧客の獲得が鈍化しており、既存顧客の退会率も増加傾向にある。
この背景には、SNSを活用した集客が他の競合事業者に比べて弱い点や、個人事業であるためにリソースが限られている点が挙げられる。
   
さらに、山添さんのビジネスは口コミに大きく依存しているため、紹介経路に頼りがちであり、広範囲に認知を広げるための戦略が不足している。
また、オンライン指導のプラットフォームや動画コンテンツの質が他の専門家に比べて劣っていると一部の顧客から指摘されている。
   
山添さんは、これらの課題を解決し、新たな顧客層を獲得するために、新事業開発を進めることを決意した。特に、高齢者向けの健康維持プログラムや、企業向けの健康経営セミナーといった新しいサービスを検討しているが、どのように事業展開すべきかについて明確な方向性が定まっていない。
   
彼女は、自身のこれまでの経験と現有資源を最大限活用しながら、新しい市場へ進出する方法を模索している。

解答例

  • Q.1.山添さんの現在の事業における課題を、収益性、顧客獲得、顧客維持の観点から整理せよ。
    A.①収益性: 新規顧客獲得の鈍化と退会率の増加により、売上が低迷。  
      
    ②顧客獲得: SNS活用不足と口コミ依存が原因で新規顧客の範囲が限定的。    
             
    ③顧客維持: 動画コンテンツの質の低さが既存顧客の満足度に影響を与えている。
  • Q.2.高齢者向けの健康維持プログラムを新事業として展開する場合、どのような顧客ニーズを満たすべきか。また、そのための具体的な提供価値(バリュープロポジション)を提案せよ。
    A.高齢者向け健康維持プログラム
    ・顧客ニーズ: 運動習慣の確立、生活習慣病予防、認知機能の維持。

    ・提供価値: 高齢者向けの簡単な運動プログラム、栄養指導、オンラインコミュニティの提供。
  • Q.3.企業向け健康経営セミナーの事業展開を検討する際、ターゲット企業の選定基準とマーケティング戦略について提案せよ。
    A.・ターゲット選定基準: 従業員数50–200人程度の中小企業、福利厚生に関心のある企業。

    ・マーケティング戦略: 地域商工会議所との連携、無料セミナーの開催、成功事例の紹介。
  • Q.4.山添さんがSNSを活用した集客力を強化するための具体的な施策を提案せよ。予算が限られている中で、効果的な方法を考慮すること。
    A.・短編動画でビフォーアフター事例を紹介。

    ・顧客の声を投稿としてシェア。
      
    ・定期的なライブ配信で山添さんの専門知識をアピール。
        
    ・リールやショート動画を活用したインパクトのある投稿。
  • Q.5.オンライン指導プラットフォームや動画コンテンツの質を向上させるために必要な具体的な取り組みを提案せよ。
    A.・プロに動画制作を依頼する。

    ・見やすいレイアウトと視覚的な工夫を施す。
          
    ・顧客フィードバックを取り入れた改善。
     
    ・定期的な更新と新コンテンツの追加。

合格ライン:50/100点

02.PASTモデルで読者を引き込む方法
73.残業代未払いの請求
03.BABモデルで読者を惹きつける方法
74.公益法人の寄付金不正使用警告
04.SOAPモデルで明確に伝える方法
2024/12/9