マイクロ事業診断士 解答例 経営戦略2
事例企業の概要
二宮さんは、50代の男性で、20年以上にわたり社会保険労務士として活動している。
地元の中小企業を中心に、人事労務管理や労働法令の対応支援を行い、顧客からは一定の信頼を得ている。
しかし近年、競合他社の増加や、企業のコスト削減意識の高まりにより、業務の価格競争が激化してきている。また、IT技術を駆使したオンラインツールの普及により、一部の顧客はオンライン上で手続きを完結できるサービスを利用し始めている。
二宮さんの顧客の多くは中小企業であるが、近年では顧客層の高齢化が進んでいる。このため、新規顧客の獲得が課題となっている。
一方で、二宮さんは労務管理に加え、従業員のメンタルヘルス支援の重要性が増していると感じている。この分野はまだ未開拓であり、中小企業の多くが必要性を認識しているものの、十分な対応が取れていない状況である。
二宮さんはこれまでの経験を活かしつつ、事業を発展させるために新たなサービスを取り入れたいと考えている。
しかし、業務のIT化や新分野の開拓に必要な知識とスキルが不足しているため、具体的な行動計画を立てられずにいる。
また、現在の事務所は業務を回す上での効率性に課題があり、事業の拡大を進める上でのボトルネックとなっている。これらの課題をどう解決するかが二宮さんにとっての大きなテーマとなっている。
第1問
二宮さんが直面している主要な課題を整理し、課題間の因果関係を分析した上で、経営戦略上の優先事項を挙げなさい。
解答例
主要な課題は以下の通りである。
・顧客層の高齢化による新規顧客獲得の難化
・業務のIT化の遅れによる競争力の低下
・労務管理以外の新たな分野への対応力不足
・事務所の効率性の課題
これらは、まず新規顧客獲得の施策に取り組み、並行して業務のIT化を進めることで解決できる。特にIT化により効率性が向上すれば、他の課題解決へのリソースが生まれることが期待できる。
第2問
二宮さんが新たなサービスとして「従業員のメンタルヘルス支援」を提供する場合、このサービスを顧客に効果的に提案するためのマーケティング戦略を示しなさい。
解答例
「従業員のメンタルヘルス支援」を提供する場合、以下のマーケティング戦略が効果的である。
・地元中小企業向けのセミナー開催による認知拡大
・実績を示すケーススタディの提供
・自社ウェブサイトやSNSを活用した情報発信
これらにより、必要性を訴求し、潜在的なニーズを顕在化できる。
第3問
業務のIT化を進める際に、二宮さんが直面するであろう具体的な課題を2つ挙げ、それぞれに対する解決策を提案しなさい。
解答例
課題1:ITツール選定の知識不足
解決策:専門家を招聘し、現場のニーズに合致したツールを選定する。
課題2:既存業務のIT化への抵抗
解決策:段階的に導入を進め、小規模な成功例を示すことでスタッフの理解を深める。
第4問
事業拡大のために、現在の事務所の効率性を向上させる具体的な方法を3つ挙げ、それらを実現するための優先順位をつけなさい。
解答例
効率性向上の方法
・業務プロセスの標準化(優先度:高)
・ITツール導入によるペーパーレス化(優先度:中)
・事務所のレイアウト変更(優先度:低)
標準化を最初に進めることで、他の施策の効果を最大化が期待される。
合格ライン:45/100点